効果効能

モノドクス(ドキシサイクリン)は、細菌のタンパク質合成を妨げることで抗菌作用を発揮し、幅広い感染症の治療に使用されている医薬品です。
テトラサイクリン系抗生物質の中でも特に高い組織移行性と経口吸収性を持つため、様々な臨床現場で用いられています。

呼吸器感染症への効果

ドキシサイクリンは、肺炎や慢性気管支炎、気管支拡張症の増悪など、上気道および下気道感染症の治療に効果を示します。
特に、マイコプラズマ肺炎やクラミジア肺炎といった非定型肺炎の原因菌に対して優れた効果があり、第一選択薬とされるケースも多く見られます。
非定型肺炎とは、肺炎らしくない肺炎のことを言い、咳や発熱はあるものの肺炎の特徴的な聴診音が聞こえないことが特徴です。
また、細菌性副鼻腔炎や中耳炎の一部に対しても使用されることがあります。

ニキビ・皮膚感染症への適応

ドキシサイクリンは、皮膚の浅い感染(とびひ、毛嚢炎)から、深部の感染(膿瘍、蜂窩織炎)に至るまで、様々な皮膚・軟部組織感染症に使用されます。
慢性膿皮症や感染性粉瘤、術後創部感染など、再発性のある病変に対しても有効性が示されています。
特に、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌が原因菌となるケースでは、他剤が無効な場合にドキシサイクリンが選択肢となります。
また、皮膚疾患の一つである「炎症性ざ瘡(いわゆるニキビ)」に対しても、抗菌作用と抗炎症作用の両方の効果を期待して処方されることがあります。

泌尿器・性器感染症への適応

尿道炎や膀胱炎、腎盂腎炎などの尿路感染症にも適応があります。
特に、クラミジア・トラコマチスや淋菌による性感染症(STI)に対する治療薬としてドキシサイクリンは広く用いられており、単独または他剤との併用療法にて高い治療効果が得られます。
さらに、梅毒や骨盤内炎症性疾患(PID)において、ペニシリンアレルギーのある方に代替医薬品として使用されることもあります。

消化器感染症・眼科領域などその他の適応症

ドキシサイクリンは、コレラ、赤痢、旅行者下痢症といった消化管感染症に対しても使用されます。
特に発展途上国への渡航時の感染予防や、医療資源の乏しい地域における緊急的治療として重宝されます。
また、眼科領域では涙嚢炎、麦粒腫、角膜炎などに用いられ、副鼻腔炎や歯冠周囲炎、唾液腺炎など耳鼻科・歯科領域にも適応が広がっています。

さらに、ドキシサイクリンの特筆すべき適応の一つに「リケッチア感染症」があります。
これはツツガムシ病、発疹チフス、Q熱など、ダニやノミ、シラミを媒介とする細菌感染症で、これらの疾患に対してはドキシサイクリンが第一選択薬とされています。
また、ペストや炭疽、オウム病、ブルセラ症など、比較的稀な細菌感染症や人獣共通感染症(ズーノーシス)にも有効です。

熱帯病・予防的使用

ドキシサイクリンは、感染症の治療だけでなく予防的投与にも使用されます。
その代表例が「マラリア予防」です。
東南アジアやアフリカなどのマラリア流行地へ渡航する人に対し、出発前からの内服を指導することで発症を予防する効果があります。
マラリアは蚊を媒介とする原虫感染症であり、重症化すると致命的なこともあるため、予防は非常に重要です。

使用方法

以下の服用方法を守ってご使用ください。

モノドクス100mgの飲み方(用法・用量)

ドキシサイクリンは、成人において初日に1日量200mgを1回または2回に分けて服用し、2日目以降は1日量100mgを1回に服用するのが一般的です。

服用時のポイント

• 服用方法

  錠剤は砕いたり噛んだりせず、丸ごと飲み込んでください。
  服用後は、十分な量の水またはぬるま湯(約コップ一杯)で流し込むことが推奨されます。
  
  

• 食事との関係

  食事の有無にかかわらず服用できますが、胃の不快感を避けるために食後に服用することが望ましい場合もあります。
  
  

• 服用時間の調整

  服用を忘れた場合は、思い出した時点ですぐに服用してください。
  ただし、次の服用時間が近い場合は、忘れた分は服用せず、通常のスケジュールを再開してください。
  忘れた分を補うために服用量を2倍にしないでください。
  
  

服用頻度

モノドクス100mgは、初日に1日量200mgを1回または2回に分けて服用し、2日目以降は1日量100mgを1回服用することが一般的です。

副作用

モノドクス100mgの重大な副作用

• ショック
• アナフィラキシー(呼吸困難、血管神経性浮腫など)
• 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis：TEN)
• 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
• 剥脱性皮膚炎
• 薬剤性過敏症症候群
• 偽膜性大腸炎
• 肝炎
• 肝機能障害
• 黄疸

その他の副作用

他にも以下の副作用が報告されています。(頻度不明)

禁忌

使用注意

併用注意

以下の薬剤と併用する際は、ご注意ください。

抗凝血剤

• ワルファリン　など

抗凝固作用が増強されるおそれがあるため、出血リスクに注意が必要です。

スルホニル尿素系血糖降下薬

• グリクロピラミド
• グリベンクラミド
• グリメピリド　など

血糖降下作用が増強することがあります。

経口避妊薬

• デソゲストレル・エチニルエストラジオール
• ノルエチステロン・エチニルエストラジオール
• レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール　など

効果が減弱する可能性があるため、避妊の信頼性が低下するおそれがあります

制酸剤や鉄剤の金属イオン

• カルシウム
• マグネシウム
• アルミニウム
• 鉄剤
• ビスマス塩

ドキシサイクリンの吸収が低下するため、服用間隔をあける必要があります。

カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン、バルビツール酸誘導体

ドキシサイクリンの血中濃度半減期が短縮することがあります。

保管方法

• 高温、多湿、直射日光を避けてください

  医薬品は、光や温度、湿度など外的要因によって効能が落ちる可能性があります。
  特に指示がない場合は、直射日光や高温を避けて、室温(1～30℃)で保管してください。
  
  

• 冷所での保存は避けてください

  特に冷所保存の指示がない場合、冷蔵庫で保管する必要はありません。
  
  

• 子どもの手の届かないところに保管してください

  子どもの誤飲を防ぐため、手の届かない高いところなどに保管してください。
  また、子どもの目を引くようなお菓子の缶などで保管しないよう注意してください。
  
  

• 期限の切れた薬剤は使用を控えてください

  医薬品の使用期限は必ず守ってください。
  使用期限が過ぎた医薬品は、効果が落ちてしまったり、思わぬ副作用が発生する場合があります。
  服用前に使用期限を確認してからご使用ください。
  
  

• 容器の入れ替えはお控えください

  それぞれの医薬品に応じて包装に工夫がされていますので、シートから出したり、別の容器に移し替えて保管しないでください。
  中身や使用方法がわからなくなってしまう場合があります。
  誤用を防ぐためにも、元の容器のままご使用ください。
  
  

• 医薬品以外のものと一緒に保管しないでください

  食品などと一緒に保管すると、誤用してしまう恐れがあります。
  
  

• 余った医薬品は、適切に処分してください

  飲み残したものや期限が切れた医薬品は、処分してください。
  処分方法に不安がある場合は、薬剤師に相談してください。
  
  

参考サイト

当商品ページは、これらのサイトを参考として制作しております。
医療用医薬品 : ビブラマイシン - KEGG DRUG