身体に痛みを感じる時に使用する抗炎症薬の貼り薬には種類があり、有効成分ごとに効果や効能が異なります。
中でもケトプロフェンテープとロキソニンテープは使用することが多い貼り薬ですが、両者の違いが分からないという方も少なくないのかもしれません。
今回はケトプロフェンテープとロキソニンテープの効果や副作用を紹介しながら、2つの抗炎症薬の貼り薬の違いについて解説していきます。
副作用を避けて身体の痛みを効果的に治していくためにも、正しい用法用量を理解しておきましょう。
抗炎症薬の貼り薬|ケトプロフェンテープとは
ケトプロフェンテープは有効成分ケトプロフェンを含んだ非ステロイド性の抗炎症薬です。
ケトプロフェンを主成分とする薬には貼り薬の他に、注射液や塗り薬などの剤型がありますが、ここではケトプロフェンテープなどの貼り薬について解説していきます。
ケトプロフェンテープの種類
ケトプロフェンテープの先発薬は久光製薬のモーラスで、モーラステープ20mgやモーラステープL40mgといった商品があります。
ケトプロフェンテープはモーラスの後発品で、ケトプロフェンテープ20mgやケトプロフェンテープ40mgといった製品を、三友薬品や日医工を始めとする複数の製薬会社が販売しています。
つまり、ケトプロフェンテープとモーラステープは同じ成分を使用している貼り薬で、その効果や副作用は基本的に同じです。
ケトプロフェンテープは過去に販売中止となったことがありますが、これは需要量の増加によって生産が追いつかなくなったことが原因であったため、薬剤自体に問題はありません。
ケトプロフェンテープの効果
ケトプロフェンテープは非ステロイド性抗炎症薬の貼り薬であり、炎症や痛みを引き起こすプロスタグランジンの生成を阻害して、筋肉痛や関節痛を和らげる作用があります。
有効成分のケトプロフェンは経皮吸収性が高く、炎症や痛みを起こしている部位に直接作用して効果を発揮します。
このような作用があるケトプロフェンテープは、腰痛や変形性関節症、腱鞘炎、テニス肘、椎間板症、外傷後の腫れや痛みの改善、関節リウマチの関節局所の痛み改善などに使用されます。
ケトプロフェンテープの用法用量
ケトプロフェンテープは1日1回患部に貼って使用します。
貼るタイミングは、皮脂や汚れが落ちるテープが剝がれにくく、かぶれにくいことから、お風呂上りが推奨されています。
また、ケトプロフェンテープの効果時間に関する具体的なデータはありませんが、一般的な1日1回貼り替えタイプの貼付薬であれば、約8~10時間で成分は皮膚に浸透してテープをはがしたあとも効果が持続するのが一般的です。
そのため、肌が弱くかぶれやすい方は夜のお風呂上りに貼って、起床後に剝がすといった工夫をするとよいでしょう。
もし、ケトプロフェンテープを貼り忘れた場合には気が付いた時点でに貼るようにします。
この時、副作用の観点からも2回分を一度に使用することは避けてください。
ケトプロフェンテープは小児までの子どもに対しての使用経験が少なく、安全性が確立できていません。
このことからも自己判断で子どもに使用することはしないでください。
ただし、医師の指示であれば、この限りではありません。
ケトプロフェンテープの副作用
ケトプロフェンテープの副作用には局所発疹や赤みなどの皮膚症状に加えて顔面のむくみ、消化性潰瘍などが起こる可能性があり、重篤な副作用にはアナフィラキシーやアスピリン喘息、接触皮膚炎、光過敏症などが報告されています。
光過敏症はケトプロフェンテープを貼った場所が日光に当たることで起きる強いかぶれで、ひどい時には全身に皮膚症状が広がってしまうケースもあります。
光過敏症はテープを貼っている時だけではなく、テープを剥がしたあとでも起こるため、ケトプロフェンテープを使用した部位には日光を当てないように厚手の濃い色の衣服やサポーターなどで保護する必要があります。
ケトプロフェンテープの禁忌
ケトプロフェンテープの副作用を避けるためにも、アスピリン喘息や過敏症、光線過敏症、非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作を引き起こしたことがある方、妊婦の使用は禁止です。
さらに、スプロフェン、フェノフィブラート、チアプロフェン酸、オキシベンゾン、オクトクリレンといった薬剤に対して過敏症がある場合も使用禁止となっています。
また、ケトプロフェンテープは貼付している部位の皮膚感染症を不顕性化する可能性があるため、皮膚感染症を抱えている時には適切な抗生物質を使用しながら、慎重に使用していくことが求められます。
高齢者もケトプロフェンテープの接触皮膚炎の副作用が起きやすいことから、貼付部位の状態を常に確認しながら使用してください。
飲み合わせに関しては、白血病やリウマチの治療薬メトトレキサート製剤と併用すると、メトトレキサートの腎排泄が阻害されて作用が強まるため、飲み合わせに注意する必要があります。
抗炎症薬の貼り薬|ロキソニンテープとは
ロキソニンという名前は内服薬で耳にすることが多いかもしれませんが、ロキソニンテープにも同じ成分が使用されています。
有効成分ロキソプロフェンナトリウム水和物を配合した非ステロイド性抗炎症薬の貼り薬をロキソニンテープと言い、テープやパップ、ゲルといった剤型がありますが、ここではテープ剤のロキソニンテープを紹介していきます。
ロキソニンテープの種類
ロキソニンテープはロキソプロフェンナトリウム水和物が配合されたテープ剤の先発薬で、ロキソプロフェンテープ50mgとロキソニンテープ100mgがリードケミカルから販売されています。
後発品はニプロファーマや第一三共エスファなどの複数の製薬会社から、ロキソプロフェンNaテープやロキソプロフェンナトリウムテープという名前で、50mgと100mgの製品が販売されています。
ロキソニンテープの効果
ロキソニンテープもケトプロフェンテープと同じく、炎症や痛みを引き起こすプロスタグランジンの合成を抑制して、痛みや炎症を和らげる作用があります。
ロキソニンテープも筋肉痛や変形性関節症、外傷後の炎症や痛みを改善する効果がありますが、関節リウマチにおける関節局所の痛みには適応していない点がケトプロフェンテープと異なる点です。
ロキソニンテープの用法用量
ロキソニンテープもケトプロフェンテープと同じく、1日1回患部に直接貼付して使用します。
副作用のリスクから1日の用量が決められているので、一度に2枚貼ったり、汚れたからと言って途中で貼り替えたりするのはやめましょう。
ロキソニンテープは薬局やドラッグストアでの市販薬もありますが、製品によっては15歳未満の子どもは使用できないものもあるので注意してください。
ロキソニンテープの副作用
ロキソニンテープの副作用には皮膚のかゆみや赤みの他に胃の不快感や腹痛、下痢などの胃腸症状があり、重篤な副作用としてアナフィラキシーや呼吸困難、血圧低下、蕁麻疹などの報告があります。
ただし、ケトプロフェンテープで報告されている光過敏症は起きないとされています。
ロキソニンテープの禁忌
ロキソニンテープはアスピリン喘息、過敏症、非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作を起こしたことがある方、妊婦の使用は禁止されており、皮膚感染症を患っている方は慎重に使用する必要があります。
併用禁忌の薬はありませんが、塗り薬と併用することで効果が強くなり副作用のリスクが高まる恐れがあるため、他の薬剤と併用したい時には医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
ケトプロフェンテープとロキソニンテープどちらが効くか
ここまで抗炎症薬の貼り薬であるケトプロフェンテープとロキソニンテープについて紹介してきました。
ケトプロフェンテープとロキソニンテープの効能には多少の違いがありますが、強さに関しての優劣は特にないと言われているので、効能効果に記載がある症状であればどちらを選んでも問題ないでしょう。
市販薬でどちらにしようか悩んでいるような時には、副作用や禁忌を参考にして選ぶのも1つの手段です。
抗炎症薬の貼り薬ケトプロフェンテープは非ステロイド性抗炎症薬
抗炎症薬の貼り薬であるケトプロフェンテープは非ステロイド性抗炎症薬に分類され、腰痛や変形性関節症、テニス肘、外傷後の腫れや痛みの改善、関節リウマチの関節局所の痛み改善などに効果があります。
患部に1日1回貼付するだけなので使用しやすい点がメリットですが、貼付した部分が日光に当たることで起こる光過敏症は重症化すると全身症状に進行する可能性があるため注意が必要です。
そのため、ケトプロフェンテープを使用中はもちろん、剝がしたあとも日光に当たらないように厚手の濃い色の洋服やサポーターなどで保護するようにしてください。
ケトプロフェンテープとよく比較される貼り薬にロキソニンテープがあります。
有効成分こそ違うもののロキソニンテープはケトプロフェンテープとほとんど同じような効能を持っている貼り薬ですが、関節リウマチの関節局所の痛みには適応していない点には注意が必要です。
しかしながら、ロキソニンテープには光過敏症の副作用の報告がなく、禁忌もケトプロフェンテープよりも少ないという特徴があります。
これらのことからも、市販薬を購入する時には効能の他に副作用や禁忌なども参考に選ぶとよいでしょう。