「フェブリクとは何の薬？」
「フェブリクはどうやって尿酸値を下げるの？」
このような疑問を持っている人は少なくないのではないでしょうか。

本記事では、痛風が起こるメカニズムやフェブリクが作用するメカニズムを徹底解説。
フェブリクの服用方法や副作用についても紹介します。

痛風に悩んでいる人やフェブリクについて知りたい人に必見の内容です。
ぜひ最後までご覧ください。

痛風が起こるメカニズム

フェブリクとは、帝人ファーマが製造・販売している、主に足の指に激痛を引き起こす痛風を抑えるための薬剤です。

痛風が起こる背景には、高尿酸血症という疾患があります。
尿酸が産生される流れや高尿酸血症が起こる理由、痛風による激痛のメカニズムについて、以下で詳しく解説します。

尿酸が産生される流れ

「ビールにはプリン体が多く含まれている」と、聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
このプリン体こそ尿酸のもとである物質なのです。
食事による摂取や肝臓での生合成により、プリン体は体内に入っていきます。

プリン体は体内で非常に重要な働きを担っています。
私たちが生きていくためには「ATP」や「GTP」などのエネルギーが必須ですが、プリン体はこれらの原料です。
また、遺伝物質である「DNA」や「RNA」にもプリン体は欠かせません。

体内にプリン体が十分にある時、プリン体は分解されて尿酸へと変化していきます。
この過程では、「APRT」や「HPRT」、「キサンチン酸化還元酵素(XOR)」という酵素が働いています。
中でも、キサンチン酸化還元酵素は重要です。

不要となったプリン体はまず、「ヒポキサンチン」という物質に変化します。
その後キサンチン酸化還元酵素の作用により、ヒポキサンチンが「キサンチン」となり、キサンチンが尿酸となります。

このような流れで尿酸は産生されているのです。

高尿酸血症のメカニズム

私たちの身体には、体内の尿酸を約1200㎎に調整する機能が存在します。
食事による摂取や肝臓での生合成で一日に約700mgが産生され、同じ量が腎臓や腸管から排泄されています。
この産生と排泄のバランスが崩れた状態こそ高尿酸血症です。
より厳密には、血清中の尿酸濃度が7.0mg/dL以上である場合が高尿酸血症と定義されています。

高尿酸血症が起こる原因は、尿酸の産生が過剰である場合と、尿酸の排泄が低下する場合に分類されます。
可能性は低いですが、高尿酸血症の背景に何らかの基礎疾患が存在するケースもあるため注意が必要です。

食事内容やストレスなどの環境要因も高尿酸血症の大きな要因です。
高尿酸血症を促進する食品としては、動物の内臓・魚の干物・乾物などが挙げられます。

アルコールの過剰摂取にも注意しなければなりません。
アルコールには、体内でのプリン体分解を促進させる働きがあります。
さらに、アルコールの分解に伴って産生される「乳酸」という物質は、尿酸の排泄を妨げてしまいます。
特に、ビールにはプリン体自体も多く含まれているため、飲み過ぎると尿酸を増加させやすいのです。

痛風のメカニズム

高尿酸血症の状態で血液の温度が下がったりpHが低下(酸性化)したりすると、尿酸が「尿酸塩結晶」として析出します。

ここで、尿酸塩結晶から身体を守るために登場するのが「マクロファージ」という細胞です。

尿酸塩結晶が関節の中に遊離してくると、マクロファージが捕まえにいきます。
その際、マクロファージは「炎症メディエーター」と呼ばれる様々な物質を関節内に放出します。
この炎症メディエーターこそ、痛風による激痛を引き起こしている正体です。

初回の痛風発作の70%は足の指の関節(第1中足趾節関節)に生じます。
足の指が冷えやすく、運動量が多いためにpHが低下しやすいからです。
多くの場合、そのまま放置しても発作は1週間以内に治まりますが、無治療のままだといずれ再発する可能性が高いです。

治療をせずに痛風発作と無症状期を繰り返すと、足の指だけでなく手の指や耳介などにも痛風の症状が出てきます。

代表的なものが「痛風結節」という隆起物です。
痛風結節自体に痛みはないものの、重症のケースでは関節を変形させたり神経を圧迫したりします。

慢性的な痛風は腎臓にもダメージを与えかねません。
腎臓の「尿細管」や「間質」という部位に尿酸塩結晶が沈着し、腎機能障害を引き起こす可能性があります。

補足ですが、痛風以外に高尿酸血症が引き起こす疾患として挙げられるのが尿路結石です。
尿路結石とは尿の通り道に小さな石ができる疾患であり、痛風と同じく激痛を伴います。

フェブリクが痛風を抑えるメカニズム

痛風を治療するためには、根本である高尿酸血症を治療しなければなりません。
治療薬には尿酸の生成を抑える薬剤と、尿酸の排泄を促進する薬剤がありますが、フェブリクは尿酸生成を抑制する薬剤です。

具体的には、フェブリクはキサンチン酸化還元酵素を阻害します。
その結果、ヒポキサンチン→キサンチン→尿酸と変化しなくなり、高尿酸血症を治療できるのです。

フェブリクの服用方法

フェブリクにはフェブリク錠10㎎、20mg、40mgの3種類があります。
一日あたりの服用回数は1回で、最大投与量は体重40kg未満で1日1回30mg、体重40㎏以上で1日1回60mgです。
通常錠10mgから開始し、治療の効果を見ながら錠20mg・40mgを追加していくケースもあります。

フェブリクの服用にあたり難しいのがやめるタイミングです。
一般的には、生活習慣が改善され尿酸値が低い状態を維持できれば、フェブリクの服用をやめられる可能性があります。

痛風の症状が治ったからと自己判断で服用をやめると、尿酸値がすぐに元に戻ってしまう可能性が高いです。
痛風発作の再発や尿路結石に繋がるため、くれぐれも自己中断はしないようにしてください。

フェブリクの副作用

フェブリクは痛風に対して高い効果を発揮する一方で、いくつかの副作用も報告されています。
代表的なものを紹介します。

一般的な副作用

フェブリクの一般的な副作用として代表的なものは以下の通りです。

• 肝機能障害…食欲不振、疲れやすいなど
• 消化器症状…吐き気、腹痛、下痢、便秘など
• 皮膚症状…かゆみ、皮疹など

さらなる悪化を防ぐためにも、このような症状が生じた場合は遠慮せずに医師に相談しましょう。

重篤な副作用

稀ではあるものの、フェブリクによる重篤な副作用も報告されています。
代表的なものは以下の通りです。

• 心血管系疾患…心臓の血管が詰まる心筋梗塞や、脳の血管が詰まったり破れたりする脳卒中
• 重篤な肝障害…慢性的に肝機能が大幅に低下する肝不全や、急激に肝機能が低下し意識障害などが生じる劇症肝炎
• 過敏症反応…アレルギー反応で呼吸困難・蕁麻疹などが生じるアナフィラキシーや、突然の高熱・全身の様々な皮膚症状が生じるスティーヴンス・ジョンソン症候群

これらの副作用は致命的となる可能性が十分にあります。
定期的に医療機関を受診して医師による観察を受けましょう。

フェブリクに関するQ＆A

フェブリクに関するよくある質問に回答していきます。
気になるQ＆Aをチェックしましょう。

Q.フェブリクは薬局でも買える？

フェブリクは医師による処方箋が必要な医療用医薬品です。
そのため、薬局やドラッグストアでは市販されておらず、自分の判断による購入はできません。

Q.フェブリクのジェネリックはいつから発売されている？

フェブリクのジェネリックは、2022年6月17日に発売が開始されました。
ジェネリックが承認されたメーカーは以下の13社です。

• 第一三共エスファ
• Meiji Seikaファルマ
• アルフレッサファーマ
• キョーリンリメディオ
• 沢井製薬
• 東和薬品
• 日新製薬
• 日本ジェネリック
• 陽進堂
• 日本ケミファ
• ニプロ
• 辰巳化学
• 日本薬品工業

Q.フェブリクのジェネリックの値段はいくら？

フェブリクのジェネリックの値段は製薬会社ごとに若干の違いがありますが、いずれも以下の価格帯に収まっています。

• 10mg…5.9～6.2円/錠(フェブリク先発品…15.5円/錠)
• 20mg…10.7～11.4円/錠(フェブリク先発品…29.8円/錠)
• 40mg…19.4～20.4円/錠(フェブリク先発品…53.3円/錠)

Q.フェブリクが販売中止と言われた理由は？

フェブリクは販売が開始されてから中止になったことはありませんが、販売中止の噂が流れた時期があります。
その理由は、心血管疾患を生じさせたり悪化させたりする可能性があると注意喚起され、一部の医療機関で使用が控えられたためです。

Q.フェブリクは通販で購入できる？

フェブリクは医師の診察・処方箋が必要な医療用医薬品であるため、通販では購入できません。

まとめ：痛風を治療するためフェブリクを適切に服用しよう

痛風は高尿酸血症により生じ、主に足の指に激痛を引き起こす疾患です。
フェブリクは尿酸の生成を抑える働きがあり、痛風の治療薬として広く使われています。

フェブリクを自己判断で中断すると、尿酸値がすぐに元に戻り痛風発作が再発する可能性が高いです。
また、フェブリクはいくつかの副作用も報告されています。
医師の指示に従い、適切な服用を続けましょう。